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渡邉 憲夫
日本原子力学会和文論文誌, 3(4), p.396 - 406, 2004/12
米国原子力規制委員会は、原子力発電所で発生した事故・故障事例の中から炉心損傷に至る可能性のある事象を同定するために、確率論的安全評価手法を用いた前兆事象評価(ASP評価)を行っており、これまでに、数多くのリスク上重要な事象を特定している。ASP評価の結果には、原子力発電所に対してリスク上重要な知見を導出したり、原子力発電所におけるリスクのトレンドを監視するための有用な情報が含まれている。本研究では、ASP評価結果をもとに、前兆事象の発生頻度と年間炉心損傷確率という2つの定量的なリスク指標を用いて、そのトレンドを分析した。その結果、米国における原子力発電所のリスクは減少傾向にあり、また、リスク上重要な事象の発生頻度も著しく低下していることが明らかとなった。さらに、この分析を通して、原子力発電所におけるリスクのトレンドを定量的に示すことができることを実証し、今後のリスクトレンドを監視するうえで、この2つの指標の有用性を確認することができた。